ブーチ川

11月9日(金)曇り後小雨
最近の天気予報って当たるねぇ。
週末は天気が崩れるって言っていたけど、
本当に昼前から小雨がちらつきだしたよ。
シーツやタオル等、洗濯して外に干したと思ったら
チラチラ・・・・・
天気予報を信じて、室内に干せば良かったと反省しつつ
取り込んで部屋干しに。

洗濯をする時、ふと思い出すことがある。
ばばが子供だった頃の洗濯のことなど・・・・

当時は水道が無くて、洗濯は背負いカゴで背負って
川へ行って洗っていたよ。
大きな岩の上でゴシゴシ洗って、両手で思いっきり絞って
ざっと畳んでカゴに入れて家に帰り、竿に干していた。
竿と言っても今のようなステンレス製などは無く、
父が山から切って来た太くて長い竹の竿だった。
洗濯ばさみなども無かったと思う。
上着やズボンは竿に通して干していた。

ばばの家は川とは真逆の位置関係にあったので
洗濯に行く時は集落の東の外れから西の外れまで歩いていたけど
途中に大きなデイゴの木があってね、花が満開の時期は
真っ赤な花の向こうに川と田んぼと畑があって
遙か向こうの山に夕日が沈んでいくのを見るのが好きだった。
と言っても、夕方、洗濯には行かなかったから
きっと農作業帰りなどに見ていたんだろうね、夕日は。

洗った洗濯物を背負って坂道を上るんだけど
家に着く頃には背中が濡れていることが良くあったよ。
子供の力では、洗った物の水分が
しっかり絞り切られていなかったんだね。

家族の洗濯物を川で洗ってくるんだけど、
怠け者のばばでも洗濯をイヤだと思ったことはなかった。
何故かと言うと、川では洗濯が終わると川魚やカニを追いかけたり
堤防から川へ飛び込んだり、楽しいことがいっぱいあったからね。
少しくらい遊んで帰っても、叱られることも無かったし。

ばばがひとりでも洗濯に行ける川は大通りの近くで
近くに民家もあって全然恐いとか思わなかったけれど
もう1カ所、通称ブーチゴー(ブーチー川)と呼ばれていた川には
いくら横着者のばばもひとりでは行けなかったよ。
川に着くまでの道が恐くて・・・・・
木の枝がうっそうと生い茂る細い道を下っていくんだけど
真っ昼間でも薄暗くて恐かったし、母と一緒でも恐かった。
母と一緒にこの川へ行っていたが、今にして考えると
母も、この川へひとりで行くのが恐くて
ばばを連れて行っていたのかも知れないと思ったりすることもある。

この川へ行く途中では、ばばが畑の縁から転がり落ちて
偶然にも幹の曲がったソテツの木に引っかかったこともあった。
母の後ろについて歩いていたばばの気配も無いのに気づいた母が
ビックリして引き返してみると、途中の畑の縁の真ん中辺りで
ばばがソテツの幹に引っかかっていたというわけ。

この日は、ばばは「転がり落ちる運命の日」だったらしく、
川に着いて、母が洗濯している傍らの大きな岩の上で
ばばはひとりで遊んでいた。
いつの間にかウツラウツラ居眠りをしていて
気がついたら、川の中に落ちていた。
母はビックリしただろうけど、慌てず騒がず。
ばばの洋服を全部脱がせ、ギュ〜〜〜ッと絞って
ばばに着せた。

今でも、つい先日のことのように鮮やかに思い出せる。

でも・・・・このブーチ川、今も行く人がいるのだろうか?
ばばが子供の頃は、川の近くの山からは木を切り出したりしていたし
川向こうの田んぼではお米も作られ、イ草栽培もされていて
イ草は畳表の原料になっていた。
イ草は需要が無くなったし、お米を作る人もいないし
木を切り出す人もいなくなった今、ブーチ川はどうなっているのだろう?
川へ続く道は、今でも人が通れるのだろうか?

集落の方とでも一緒に行く機会があれば、
是非行ってみたい場所である、ブーチ川。

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