アンバソーメン
9月8日(火)晴れ
昼前、娘が「今日は麺が食べたいな」と言った。
「冷やし素麺にする?」と聞いたら
「アンバソーメンが良い」と言う。
じじも「懐かしいなぁ、ばあちゃんのアンバソーメン」と言うので
昼のメニューは、「アンバソーメン」に決定。
アンバソーメン・・・・正にばばにとっては「母の味」であり
我が家の娘達にとっては「おばあちゃんの味」だ。
明治生まれの母は、当然ながら、
レシピなど見ながら料理は作る事は無かった。
昔ながらの煮物や、お餅や,卵焼きや、お汁が
母の料理メニューだった。
その中でも一番良く作ってくれたのが「アンバソーメン」。
ばばが結婚して,1週間に1回、家族揃って実家へ行くと
必ず、じじにはビールとおつまみ、アンバソーメン
娘達にはおやつと、アンバソーメンを準備して待っていてくれた。
そんな週一回の実家通いが、当時の我が家の楽しみでもあった。
車も、行く時はじじが運転し,帰りは、
じじが晩酌をして運転できないので、ばばが運転していた。
この楽しい実家通いは娘達が高校を卒業し
都会へ出て行くまで続いた。
又、ばばが実家の隣集落の職場に通っていた時は
帰りに必ず実家へ寄った。
その時も,母はアンバソーメンを準備し
門でビールの空きケースに座って、ばばの帰りを待っていてくれた。
そして、一緒にアンバソーメンを食べ
時にはじじや娘達の分をお土産に持たせてくれることもあった。
だから、我が家の家族にとって,母のアンバソーメンは
忘れられない大切な大切な思い出なのだ。
8月末、帰省した長女も「ばあちゃんのアンバソーメン」をリクエストしたが
孫達の口に合わないかも知れないと思ったので
奄美の郷土料理の「油素麺」を作った。
郷土料理の油素麺は、イリコなどできちんとダシを取って
豚肉や野菜なども入れたダシの中に,茹でた麺を入れて完成するが
母のアンバソーメンは、本当にシンプル。
素麺を茹でて汁を捨て、そこへ温めた油を入れて絡めるだけ。
素麺は洗いもせず、素麺自体の塩味を生かす。
温めた油の量も適当。
今日は温めた油に自家菜園のニラを切ってきて入れ
素麺に絡めた。
完成するまで、ほんの10分位。
完成したアンバソーメンだけだと寂しいし、
栄養も偏るので、豚肉と野菜の炒めた物を添えた。
さぁ、数十年ぶりに家族のためにばばが作った
「母譲りのアンバソーメン」。
一口食べた娘が「薄味だけど美味しい!」と言ってくれた。
じじも「ばあちゃんの味だ。美味しい!」と言ってくれた。
やったぁ〜〜〜
食べながら,しばし母の思い出話になり
途中から「おばあちゃんのアンバソーメンは,
もう少し味がコッテリしていたような気がするね」
という話になって「やはり、ダシの素とか
少し入れていたんだろうね」という結論に。
素麺によっては塩分量も違うだろうし、
母が何を隠し味に使っていたかは定かでは無かったが
1人一束の素麺を3人ともほぼ平らげた。
母と同じ味は出せないかも知れないけれど
ばばは、ばばなりに「母の味、アンバソーメン」を
時々は作って行きたいし、娘達にも作り方を教えていきたいと思う。
娘が島にいる間に、もう1回2人の共同作業で
「アンバソーメン」作りしてみようかな?