ケンムンとガオロ

5月6日(火)曇
今時の子供達は「妖怪」を信じるだろうか?

ばばが子供の頃の「妖怪」と言えば「ケンムン」。
姿形もどう言うものか分からないし、見たことも無いが
「奥深い山なんかにひとりで行ったら
ケンムンに引っ張られるよ」と大人の人がよく言っていた。
また、隣近所の兄さん達が
「夜、海に漁りに行ったらケンムン達が集まって
宴会をしていたので、持って行った魚を入れるカゴや
釣り竿などを投げ捨てて逃げ帰ってきた」という話もしているのを
聞いたことがある。
ある日、親戚のお兄さんに「ケンムンってどんな格好をしているの」と
聞いたら「火の塊みたいな物だよ」と教えてくれた。
「火の塊みたいな妖怪」が人間にどんな悪さをするんだろうと
ばばは思っていた。
ばばが小学生の頃、集落のひとりのおじさんが行方不明になった。
集落中の人たちが捜索に参加し,おじさんを探した。
数日後、おじさんは山奥の洞穴に座り込んでいるところを
捜索していた人たちによって発見された。
ばばの周囲の大人達の何人かが
「あの、おじさんはケンムンに彼方此方引っ張り回されたんだよ」と
行っていたのを記憶している。
その時、ばばは「ケンムンに山奥に引っ張り込まれたら怖いなぁ」と
思ったものだった。
当時は,認知症とか「高齢者の徘徊」という言葉も
ばばの周囲では聞かなかったような気がする。
あのおじさんが,何故山奥の洞穴に行ったのかは不明だが
「ケンムンに引っ張り回された」というのは
本当かなぁ?と年を経るにつれて疑問に思うようになった。
ただ、小学生の頃学校へ行く途中
坂道の上から学校裏の山を見た時
真っ赤な炎のような物が「木から木へ飛び移るように」
移動しているのを見たことはある。
あの真っ赤な塊は何だったのだろうと未だに思い出すことがある。
友達もばばと一緒にいたけれど、移動する赤い塊を見たのは
ばばだけだったらしい。
あれが、当時大人達が言っていた「ケンムンだったのだろうか?」
と時間が経ってから思うようになったばばだけど
未だに正解は分からない。

妖怪では無いけれど、カッパの話も大人の人から良く聞かされていた。
「ブーチゴー(ブーチ川)には行ったらいけないよ。
ガオロ(カッパ)に尻(肛門?)抜かれるから」と。
ばばの家からブーチゴーは1番近い川だったが
ひとりで行ったことは無く,行く時は必ず母か,長姉と一緒に行った。
ブーチゴーへ行くためには狭い山道を下っていくのだが
道は石ころゴロゴロだし、両側から木の枝が鬱蒼と垂れ下がっているし
昼でも気味悪い道を通って行くのだった。
いくらお転婆なばばもブーチゴーにひとりで行こうとは思わなかった。
何故かと言うと、ブーチゴーにはガオロがいるから・・・・
そのガオロは人間を川底へ引きずり込んで
肛門を引き抜いてしまうと言うのだ。
川の片側も鬱蒼とした茂みや大木があって
行く時も怖いけど、川自体も怖い。
実際、ばばが小学生の時近くに住む下級生が
このブーチゴーで溺れて亡くなるという悲しい事故があった。
その時も,大人はガオロに引っ張り込まれたと
ばば達に話した。
この話を聞いて、「ブーチゴー」は怖いところと
という概念がインプットされ、以来ますますブーチゴーが怖くなった。

この話も、大人になって考えてみたら
山の近くにあるこの川は、急に深くなっている場所があったり
又、昼間でもほとんど人通りが無く危険だから
子供が近づかないように「カッパ」の話をして聞かせたのだろうと思う。

当時、危険で子供だけで「近寄らせたり、行かせたりしたくない場所」に
「○○がいる」と言って子供の恐怖心を煽っていたのかなぁとも思う。

なのに、ばばは幼稚園に上がる前
このブーチゴーにひとりで走って行こうとしたんだよね。
川の近くの自家製糖工場で製糖中、親戚のお兄さんが
「ばばちゃん、ガンダタ(飴状の黒糖)食べたかったら
ガン(カニ)入れないと出来ないよ」と言われ
飴状の黒糖が食べたいばかりに、あの、怖い「ブーチゴー」目指して
カニを捕まえてくると走り出したんだから。
恐怖心よりも食い意地の方が強かったんだね、ばばは。
全く〜もう〜・・・・

あの恐怖のブーチゴーの近くを
年に何回か車で走るけれど,さすが下りて行く勇気が
今のばばには無い。
まだ、川へ下りる道はあるのかなぁ・・・・


 

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