箒目

9月18日(火)晴れ
昼過ぎ、実家集落のE姉さんから電話が来た。
「お姉さん(今は亡き長女)の家のトタンが3枚飛ばされているよ〜」と。
姉の家も、子供達は都会で生活していて
今は住む人も居なく空き家になっている。
だから、台風出被害が出た時とか、すぐばばに連絡が来る。

3時過ぎて、自分の目で達かめてから都会に住む甥に電話しようと
実家集落へ向かった。
台風後、お墓参りもしたかったし、姉の家を見ると同時に
自分の実家も被害が無かったか確かめておきたかったから。

3カ所のお墓参りを済ませ、姉の家へ向かった。
なるほど台所のトタンが3枚飛ばされている。
1枚は実家の庭に、1枚は実家の屋根を飛び越えて裏の畑に
もう1枚は、誰かが姉宅の風呂場の前に置いてあった。

実家も、姉の家も無人になって長い年月が経つ。
年々家は古くなっていく。
庭は雑草が生い茂り、その対策も大変だ。
姉の家はトタンが大分傷んでいる。
解体した方が良いのか?修理した方が良いのか?
ばばが決めることは出来ないので
夜、甥に電話して話し合ってみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
台風被害を確かめた後、電話をくれたE姉さんの家に寄ってお礼を言って帰ることにした。
E姉さんの家に着くと、いつもと同じように庭には綺麗な箒目が立てられている。
いつ行っても、箒目が立てられていて、気持ちが良い。
E姉さんのご主人,K兄さんもとても器用な方で
庭にはいくつもの盆栽が綺麗に仕立てられている。

浜の砂が撒かれているような庭に、
あまりに綺麗な箒目が立てられていて、1つも足跡が無い。
「歩いて良いのだろうか?」と、ちょっと戸惑ってしまった。
綺麗な箒目の上を歩いて、玄関へ行き声をかけると
K兄さんも,E姉さんも在宅だった。
実家と姉の家へ行って、台風被害を見てきたことと
連絡をくれた事へのお礼を言って早々に辞去した。
本当はもっとゆっくり話したかったが、
家へ戻ってからの仕事もいくつかあったので、ちょっと残念だった。

ばばの実家集落で、いつ行っても庭に箒目が立てられているお宅がもう一軒ある。
本当は、もっとあるかも知れないけれど・・・・・
庭に箒目が立っていると気持ちいいね〜。

箒目と言えば、ばばが加計呂麻で仕事をした職場では
毎朝8時から全校児童と職員で校庭に箒目を立てていた。
10名内外の少ない児童数ではあったが、一人一人持ち場が決められ
箒や一輪車もほぼ人数分あった。
箒目を立てると言っても、ばばが知ってるような箒の使い方ではなく
熊手箒を引っ張って歩いて、校庭に箒目を立てていた。
ゴミを掃くと言うより、本当に「箒目を立てる」のだった。
入学したての1年生は、まだ箒の使い方に慣れていなくて
自分が立てた箒目を見ずに、前ばかり見て歩くので
たまに箒目がグニャグニャに立っていることもあったけど
しばらくすると、綺麗な箒目が立てられるようになった。
毎日、箒目を立てるので、台風とかでもなければゴミはほとんど無かった。
ある時、元皇族の島津貴子さんのご主人、島津久永さんが学校を訪問されたことがあった。
門を入られて、しばらく立ち止まっておられ(どうしたのかな?)と思っていたら
「ここ、歩いて良いんですか?」とおっしゃった。
校庭に綺麗に箒目が立てられていたので、その上を歩くのをはばかられたらしい。
もう、10年以上も前の話だがばばの心に残っている「箒目の思い出?」だ。

ばばの家は庭が無い。
箒目を立てたくても、立てられない。
毎朝、庭に箒目を立てたら、さぞや気持ちが良いだろうな・・・・・

庭に箒目は立てられないけれど、ばばもどこか1カ所、
家の内外で「ここだけはいつでも綺麗だよ」と自信が持てるような場所を作りたいな・・・・

投稿者プロフィール

ばば
ばば
最新の投稿