むかし、むかし・・・
7月31日(土)晴れ
むかし、むかし、鹿児島県の南にある小さな島に
おじいさんと、おばあさんが暮らしていました。
おじいさんは、毎日、5キロ入り米袋と同じくらいの重さのカメラを担いで
森へ行き、野鳥と話し、野鳥をモデルに撮影をするのが楽しみでした。
おばあさんは、家の中と外を何回も行き来し、
一つの仕事が終わったら、次は何をしようか、絶えず考え
おじいさんが家にいる時は、いつでも、おじいさんを相手に独演会をしていました。
ある朝、おばあさんが「自分の仕事がいかに大変か」おじいさんに話しました。
すると、おじいさんは「じゃぁ、役割交代しようか?」と提案しました。
おばあさんは「しよう、しよう」と乗り気で大賛成。
そして、おじいさんに向かって「1日3回の食事の準備、夕方の刺身買い
部屋の掃除、洗濯、片付けなど、出来そう?」と尋ねました。
すると、おじいさんは、即「やっぱり、今のままが良い」と言いました。
そして、今日も大きな重いカメラを担いで、外へ出かけて行き
おばあさんは、朝から除草剤を撒いたり、庭掃除をしたり、ご飯を炊いたり、
おかずを数品作ったり、おじいさんが帰宅するまで、孤軍奮闘していましたさ。
そうそう、夕べは、晩酌で使った、大きなガラスコップを流しに持って来たおじいさんに
おばあさんが「コップ1個くらい洗える?」と聞くと
「出来るよ」と答え、ささっと洗って、食器カゴに入れて
意気揚々と、自室へ戻って行ったおじいさんでしたが、今日は、さて・・・・・
なぁんて。。。。。
ここ数年、年々「忘れっぽくなったなぁ」と話す、じじとばば。
人の名前を忘れ、冷蔵庫や押し入れの前まで行って
「何しに来たんだった?」と、自問自答すること多々。
じじが、冷蔵庫の前で「僕、何を取りに来たんだった?」と言うと
「ばば、自分のやる事さえ、ちゃんと覚えきれないのに、
じじの分まで、とても、とても」と答える。
そんなばば、出かける時は、必ず携帯とカメラはバッグに入れて持ち歩く。
ばばの出先には、珍しい野鳥が飛来する事も多いから。
で、少し前、買い物に出かけ、帰って来て「今日は写真1枚も撮らなかったなぁ」
と思いながら、パソコンの横に行ったら・・・・・
あれっ?バッグに入れて出かけたはずのデジカメが机の上に置かれている。
まさかぁ????と、思いつつ、念のためバッグを開けてみたら
何と、何と!カメラだと思い込んで、携帯ラジオが入っていたのでありました。
デジカメと、携帯ラジオ、大きさもほぼ同じくらいの大きさで
色も似てると言えば似てる。。。。。
よくぞ、その日は、珍しい鳥や植物を見かけなくて良かった。
もし、アカショウビンとかアカヒゲなどが目の前に現れ
カメラを取り出したつもりが、携帯ラジオだったら・・・・・
とりあえず、めでたし、めでたし。