大晦日に号泣
12月31日(日)曇り
昼前携帯がが鳴った。
出ると、後輩のRちゃんからだった。
「ばばちゃん、今どこ?」と聞かれたので
「ちょっと家を離れている」と答えると
「そう?じゃぁ、ちょっと待っててね」と言って、
誰かに携帯を渡しているようだった。
数十年前の教え子ちゃんが帰省していて、
ばばにも話させようとしているのかな?と思いつつ
数秒待っていると「ばばちゃん、ご無沙汰しています」と女性の声。
続けて「Tです。今徳之島に来ていて、ばばちゃんの家を探して
寄ってみたのですが、分からずにRちゃんの所に来ています」と。
続けて「実は、娘の島の友達から電話が来て、急遽昨日帰省したのです。」と。
Tちゃんは、ばばの元同僚の奥様で、そのお嬢様が1年生の時、ばばが担任した。
Tちゃんご家族とは、とても悲しい、
言葉では言い尽くせないほどの悲しい思い出がある。
Tちゃんのご主人は、ばばの同僚だった。
40才代で、若くて、スポーツマン、そしてバリバリの働き盛りだった。
真面目で、保護者は勿論、同僚や子供達からの信頼も厚くて
職場の中心的な存在だった。
困った時は、すぐに手を貸してくれ、色々なアイディアでばばも助けてもらった。
奥様のTちゃんも温厚で、ばばはTちゃん家族が大好きだった。
長女のYちゃんが1年生の時、ばばは担任したが
Yちゃんが進級後も、Tちゃんはずっと親しく声をかけてくれた。
そんなTちゃん家族を、ある日突然、これ以上無い悲劇が襲った。
Tちゃんのご主人が出勤後、急に体調を崩し緊急搬送され
そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。
誰もが信じられない、信じたくない出来事だった。
家族、同僚、ご主人に担任されていた子供達のショックも計り知れなかった。
誰もが嘘であってほしいと願ったが、悲劇は現実であった。
ばたばたとお別れの式も終わり、
3月、学年度が変わる頃Tちゃん母子は島外のご主人の実家の近くへ引っ越した。
遠く離れても、Tちゃん母子のことは、ずっとばばの心から消える事は無かった。
電話をかけたくても、途中で受話器を置く・・・ということが続いた。
ただ、年賀状だけはやりとりを続けていた。
当時2年生だったYちゃんも中学校を卒業し、弟ちゃんも小学校高学年になり、
そして今、Yちゃんは大学生で来年正月は成人式。
そのYちゃんに、島の同級生達から「徳之島に来ない?」と声をかけられ
母子で1泊2日かなぁ・・・・で帰省し、昨夜、島にいる同級生達とも再会を果たしたそうだ。
昼前、電話で話した後、Tちゃんが「ちょっと、待ってて下さいね」と言うので
電話を握ったまま待っていると、「ばばちゃ〜〜ん」と電話の向こうでばばを呼び
次の瞬間、泣き声が聞こえた。
10数年ぶりに聞くYちゃんの声だった。
Yちゃんは、ずっと泣き続けていて、
ばばも「島にいなくてごめんなさいね、会えなくて。体に気をつけて・・・・」の後
言葉を続ける事が出来ず、電話のあちらとこちらで、ずっと泣き続けた。
お母さんのTちゃんが「ばばちゃんにも、Yの成人した姿見てもらいますね〜」と言ってくれ
やはりふたりとも泣きながら電話を切った。
お父さんがお亡くなりになった時の小学2年生だったYちゃんが、来る正月は成人。
時間の過ぎるのは早いけど、Tちゃん家族や、ばばの中では
Yちゃんのお父さんの事は、ずっとずっと忘れる事は出来ない。
ばばが、Tちゃん母子と話している時、涙があふれたのは
ばばの身内にも似たような悲しい出来事があったからかもしれない。
たまたま夕べ、成人式の晴れ着を着た姪の写真がラインで送られてきた。
その後、義姉と電話で色々話したのだが・・・・・
ばばのTちゃんのご主人と同じように急に亡くなった。
朝の出勤準備をしている時だったそうだ。
ばばと姉もすぐ兄が搬送された病院へ飛んだが、
ばばたちと言葉を交わす事も無く、兄は49才で旅立った。
一人娘が年明けには成人式という9月の事だった。
兄が亡くなる少し前、年開けて成人式を迎える娘のために注文した振り袖が届き
真夏の室内で冷房をガンガン効かせた中で、姉は娘に晴れ着を着せ
をれを見た兄は「可愛いよ。綺麗だよ。その着物はまるで谷崎潤一郎の世界だね」と
ご満悦で相好を崩していたそうだ。
成人式の振り袖が、父から娘への最後のプレゼントになったそうだ。
あれから約30年。。。。。。
兄の愛娘は、今ではふたりの娘の母となりその上の子が、来る1月には成人。
兄にとっては孫が成人になる。
娘の成人した晴れ姿を見ること無く天国へ旅立ったYちゃんのお父さん、
そして、娘の成人の3ヶ月前に旅立った、ばばの兄。
どれだけ無念だったことだろう。
昨日は兄にとっては孫になるMちゃんの成人の前撮り写真が届き
今日は尊敬していた元同僚D先生のお嬢さんで、成人式を迎えるYちゃんから電話があり・・・・
偶然とは言え、何とも言えない感情に襲われ、
しばらく涙が止まらない、ばばでした。
と同時に、せっかく徳之島へ来て、ばばの家まで寄ってくれたのに
会えずに、かえすがえすも残念でならない。
Yちゃん、Mちゃん、ご成人おめでとう!!!