ふるさとは・・・・・・
8月24日(日)晴れ
朝食の後、(今日は何しようかなぁ?)と考えた。
自宅倉庫の片付けをするか?
実家の庭の雑草も気になる。除草剤撒きに行こうか?
この2つのうち、どれから先にしようかな?
倉庫の片付けは室内作業だからいつでも出来る。
しかし、除草剤を撒くには天気に左右される。
幸い、1日晴れそうだし、除草剤撒きに行くか!と
姉にも電話したら、姉も即OK!
で、9時半には出かけたよ。
2時間もあれば。充分だろう・・・・
お盆の前だったか、お墓に行ったついでに
チラッと実家の庭を覗いたら、まぁ〜雑草がボワボワ伸び放題。
姉が、それより少し前に覗いた時は、そんなに伸びていなかったと
ビックリしていた。
近々、シルバーセンターの方に、庭木の剪定などをお願いしているので
ついでに除草剤散布までお願いしようと思ったが
やはり、自分で出来ることはしようと思ったのだ。
実家が空き家になって19年になる。
定期的に通って、室内を掃いたり庭の雑草に除草剤を撒いたり
庭木の剪定をシルバーさんに頼んでしてもらったりしているが
人が住まなくなった家は、内も外も傷むのが早いような気がする。
空き家になった事で、色々な犯罪の温床にならないかとも心配で
数年前には門扉も付けた。
開閉が面倒くさいけど仕方ない。
集落の皆さんに迷惑をかけたくないから・・・・
今日も、門の鍵を開けて中へ入ろうとしたら
鍵が錆びていて、なかなか開かずアタフタオロオロ。
落ち着いて、何度か試みるうちに開いてホッ!
すぐに作業開始したが、近くでたくさんのカラスが
うるさい位鳴いているのが気になって仕方が無い。
家の前の電柱に止まって鳴いているのもいる。
ばばが子どもの頃から、カラスは縁起の悪い鳥だと言われていて
特に、誰か人が亡くなる前に、よく鳴くと聞かされてきた。
だから、今でもあまり近くでカラスが鳴く時は
表へ出て、どこに向かって鳴いているか確かめたりもしているばば。
今日は、集落の方へ向いて鳴いていたので
内心心配しながら作業を開始した。
姉が家の外の道路脇と、長姉の家跡担当。
ばばは、家の裏の畑と、家の周辺担当。
8リットル入りの如雨露2個と、6リットル入りのジョウロ2個使って
除草剤を溶かした液を雑草に撒いていった。
あまりに雑草が伸びているので、ハブが出ないかドキドキしながら・・・
時には、大きく這った蜘蛛の巣を除けながら、
時には、伸びすぎた庭木の下を腰を屈めながら撒いて行った。
1時間もあれば楽に作業は終わると思ったが、何の、何の。
結局11時過ぎまでかかってしまった。
姉も、カラスの鳴き声が気になると言いながら、
自分の分担分の作業を終わって室内に入ってきた。
悲しいことが何も起きませんように・・・・と願いつつ
水分補給と塩分補給をしながら、しばし休憩。
休みながら、色々な事を考えた。
この家で、約20年間過ごしたんだなぁ・・・・とか、
今は亡き両親や兄、長姉との思い出など・・・・・
ばばの人間としての基礎は、この家でできたんだなぁ。
生涯、ばばを一度も叱ることの無かった父。
優しかった父の分も厳しくばばを躾けてくれた母。
家族のために一生懸命働いてくれた長姉。
「正に努力の人」だった兄。
幼稚園入園前に、ハシカで亡くなってしまった弟。
みんなと過ごした日々のことが色々と頭をよぎる。
「ここにいると、落ち着くね」とばばが言うと姉も黙って頷いた。
もう、この家で生活することは絶対無いだろう。
この家こそ、ばばの故郷!
でも・・・両親あってこその故郷だ。
両親が亡くなり、無人になってしまった実家は
故郷であるけど、故郷ではない・・・・・・ような気がする。
両親さえ元気であれば、ばばは毎日でも実家へ通うだろう。
今、「ただいま〜〜」と声をかけても、誰も迎えてくれる人はいない。
丹精された庭木もない。
ただ静寂と荒廃だけがある場所・・・それが今の実家。
ばばが通える間は、手入れもある程度出来る。
しかし、ばばが動けなくなった時、この場所はどうなるのだろう?
ますます荒れ果て、いつかは朽ちていくのだろうなぁ・・・
寂しく、悲しいけれど仕方が無い。
最近は、実家へ行く度に
あと、20年後、この家はどうなっているんだろうと考える。
実家だけではない。
今現在、じじとばばが暮らしているこの家だって、
どうなるか分からない。
都会で暮らす娘達が帰ってくる可能性はゼロに等しい。
じじとばばが元気なうちは、娘達も「徳之島」へ帰れる。
しかし、あと数十年後・・・・・
娘達は、自分の故郷に立つことがあるのだろうか?
荒廃していく実家を見ながら色々な事を考えると切なくなってしまったよ。