紅い手提げ

11月4日(日)雨後曇り
数日前書いた、夜中の「トントントントントントントントン・・・」という
音の正体、今日、偶然自分の目で確かめることができた。

昼前の徒歩で買い物に行ったのだが
その時、あの音の事を思い出し「もしや?」と思いつつ
キョロキョロ周りを見ながら歩いていたら・・・
少しだけ離れたお宅2階にトタンで囲った看板みたいなのがあるのだが
そのトタンが過日の台風で剥がれたのだろう、
1枚のトタンに、風が吹く度、上からと横から当たって音がしていたのだ。
風の強さによって、又上のトタンが当たるか、横のトタンが当たるかで
音も微妙に違って聞こえる。
原因が分かった良かった!

さて、今日は・・・
数週間前、じじがバイクをしまってある倉庫を片付けようと思った。
以前から、気づいてはいたのだが、
壁に紅いコーデュロイ製のバッグが下げられていた。


この倉庫は、平成25年に亡くなったじじの父が
バイクや農機具等をしまっていた倉庫だ。

数年前に一度は整理したが、自転車やロープや工具やこたつ布団や
ありとあらゆる物が所狭しと入れられていた。
そこで、バイク以外は全て引っ張り出し
倉庫内をきれいに掃いてから、又元の場所に戻していった。
倉庫の壁には枝切りバサミとか洗濯物を干すハンガーなど
ばばが大きな釘を打ってかけた物もある。
その中で、前記のコーデュロイ製手提げバッグに目が留まった。

このバッグ、ばばが下げたのか、亡き義父が下げたのか定かではないが・・
とにかく、思い出のあるバッグ。

このバッグは我が家の長女が小学校高学年か中学生の頃ミシンで縫った物。
それを義父はずっと使っていた。
畑に行く時とかも、バイクや車に積んでいたらしい。
70歳も過ぎたおじいちゃんが、紅い派手な手提げ・・・・
でもね、義父は大事に大事に使っていたの。

以前ブログにも書いた事があるけど、
ばばがじじと結婚する事になった時、義父は言った。
「ばばちゃん、ずっとやりたくて、やりたくて夢を実現させて就いた今の仕事。
これからは、女性も働く時代になるから、もし、ばばちゃんが
仕事を続けたいと思うなら、私と母ちゃんも協力するから、
思う存分頑張りなさい。仕事が辛いと思ったら、いつでも辞めて良いから」と。

ばばは、小学校1年生の時に「よし!大きくなったら私は○○になる!」と決め
ひたすらに努力し、やっと自分の夢を実現し4年目に、じじとの結婚が決まった。
当時、ばばは「結婚したら女性は家庭に入る・・」と考えていたから
義父の言葉は本当に「目から鱗」であった。
義父の一言で大好きな仕事を続ける事を決め、結婚して5ヶ月後
異動で加計呂麻へ・・・そして4年間過ごした。

結婚1年後、加計呂麻で長女が誕生した。
しかし、当時、加計呂麻で生まれたばかりの赤ちゃんを預かってくれる所は無く
又、今のような育休制度も無く、産前6週間、産後8週間しか休めなかった。
病院へ行くのも、時間によっては、わざわざ船を貸し切ったりしていた。

仕事を続けるか?育児に専念するか?
又ばばは悩んだ。
その時、又じじ両親が救いの手をさしのべてくれた。
「私たちが育てるから、ばばちゃんは仕事に専念しなさい」と・・・
しかし、加計呂麻と徳之島・・・
海を隔て、生まれて3ヶ月くらいの我が子を義両親に預ける・・・・
非情だと思いながらも、又、ばばは仕事を選んだ。

その後、約3年間、親子、海を隔てた離ればなれの生活。
休みなどで帰省しても、娘は祖父母を両親だと思い込んでいたようで
じじとばばには顔を背けた。

後から考えてみても、ばばが好きな仕事を続けられたのは義両親のおかげさま。
じじとばばは何回も話した。
「自分たちが生後3ヶ月の孫を3年間も育てられるだろうか?
絶対、不可能だよね」と。

まだ生後数ヶ月だった我が長女が夜中に熱を出すと、
義父は抱いて近所の医院へ走ったそうだ。
又、頭に大きなイボのような突起物が出来た時は
「思い切りが大事!」と、イボコロリという市販薬を塗って治したそうだ。
じじ両親に、大事に大事に育てられた、我が家の長女。
長女はじじ両親にとっては「我が子」であり「孫」であったと思う。
又、長女にとっても、祖父母は特別な存在だったと思う。

孫は5,6名いたのに、父は出張などに行くと長女にだけ洋服などを
お土産に買ってくる・・・という事もあり、端から見ていても
年齢差も無い、他の孫達がちょっと可哀想だった。

過日見つけた紅い手提げ・・・
父にとっては一番かわいがった孫が作った物・・・という事でも
特別な思いがあって、ずっと使っていたのかも知れない。
この手提げを見ながら、ばばも色々な想いが胸を去来した。
手提げは、すぐにきれいに洗濯し、いつでも取り出せる場所にしまった。

この手提げが出来て、かれこれ30年位になるかも知れない。
しかし、手提げは全然色褪せる事も無く、ばばの手元にある。
この手提げは「孫」と「おじいちゃん」の大事な思い出や想いが
いっぱい詰まっているような気がする。

次、娘が帰省する時、見せてあげたいな・・・・

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