さようなら

4月8日(日)晴れ
昨日とはうって変わって、穏やかな天気の徳之島です。

ついに・・・この日がやってきた。
姉と2人が「お母さん」のように慕ってきたTおばちゃんとのお別れの日。

数日前から、おばちゃんのお子さん達人が都会から帰って来て
最後の荷物の整理などしていた。

「今朝、7時半にはホテルをチェックアウトして空港へ向かう」
と聞いていたが、万が一天気が悪かったり、朝寝してしまったら
ホテルでおばちゃんを見送ることが出来ないかも知れない・・・
と、昨日昼から挨拶に行って来た。
初めてお子さん達2人とも会ったら「母が、いつも、本当の親のように
大事にしてもらっていると言うんですよ。ありがとうございます」
と言われ恐縮した。
親子3人から、こちらが恐縮する位、何回もお礼を言われ
ますます「別れ」を実感し悲しくなって
玄関先で、又涙をポロポロ・・・
最期にばばが「是非、おばちゃんと一緒に写真を撮らせて下さい」と
お願いすると、息子さんが、ばばのカメラで、
娘さんがスマホで数枚写してくれた。
おばちゃんを真ん中にして、姉とばばが両横に立って・・・
泣いた後の顔で、おまけに風はピューピュー強くて
髪の毛など逆立ってしまうほどだったが、
とにかく記念撮影できて良かった。
「おばちゃん、明日、ホテルに又行きますからね」と挨拶して
片付けの邪魔をしないよう、早々に引き上げた。
帰宅後、すぐ写真をA4とA5の大きさにプリントアウトし
ファイルにいれ、ホテルですぐ渡せるように準備した。

その後、暫く考え「おばちゃんの新しいスタートだから
明日はお赤飯で結びでも作って届けよう」と思った。
夕べは6時に目覚ましをかけて寝たが、今朝は5時に目が覚めた。
「ちょっと早いかな?」と思いつつ階下に降り
「卵+スパムおにぎり」と「赤飯おにぎり」を作って
パックに各1個ずつ入れ、3名分用意した。
そして、途中お腹が空くかも知れないので、
ふくれ菓子も1個ずつ包んで入れ、写真と一緒に紙袋に入れた。

昨夕の、息子さんの話では、7時半にチェックアウトし空港へ向かうという事で
姉とばばは何時にホテルへ行くか迷っていたが
姉が7時には玄関先に来たので、早々に出発。
おばちゃんが「いざ」となった時に「都会へは行かない」
と言い出すと困るから、1便のチケットを取ったと娘さんが話した。
おばちゃんにしても、出来るなら島で暮らしたいだろうよね。。。。
気心知れたお隣ご近所さんと縁側でお喋りしたり
好きな畑仕事をしたり、読書したり・・・・
でも・・・
子どもさん達からしたら・・・
万が一、お母さんが倒れたりしたら、すぐには駆けつけることも出来ない。
遠く離れていて、ヤキモキするしか無い。
どちらの気持ちにも同感できる。
今回の引っ越しは1番良い選択だったと思う。

ホテルに着いたがフロントには誰もいなかった。
まだ、7時少し過ぎたばかりだったから。
フロントに顔見知りの子がいたので、声をかけて
少し離れた場所のソファーで、おばちゃん達を待つ事にした。
しかし・・・7時半になっても下りて来ない。
7時40分過ぎに、娘さんとおばちゃんが下りてきた。
姉とばばを見て、ビックリした様子だった。
写真を渡すと、おばちゃんは又泣き出して・・・
「向こうへ行っても、毎日見て、忘れないからね」って・・・
娘さんがチェックアウトなどしている間に、親戚の方がひとり見え
息子さんも下りてきて、暫く談笑。
そのうち、これまで、おばちゃんを見守ってくれていた民政員の方も来てくれ
8時少し前に、おばちゃんの親戚の方が迎えに来てくれて
おばちゃん親子は車に乗り込んだ。
息子さんが「おにぎりは鹿児島空港でいただきます。
写真は僕が額に入れて、いつでも母が見えるようにしますからね」と
言ってくれた。
車に乗り込む前も、乗り込んでからも、おばちゃんは何回も何回も
車のドアから手を出して、握手をしてくれた。
最後におばちゃんは姉と2人の手を包み込むようにして
「ありがとう!本当にありがとう」と言って、手を離した。

あぁ〜〜おばちゃんが行ってしまう。
もう、2度と会うことは無いかも知れない・・・
最後の最後だ・・・・

「おばちゃん、お元気で〜〜お体大切に・・」と言うのが精一杯だった。
車は静かに走り出した・・・・

帰宅後・・・
何度も時計を見た。
「今頃、おばちゃんは・・・」
「もう、鹿児島着いた頃だなぁ・・・」
じじが撮影から帰って来た。
ふたりして時計を見て「おばちゃん、そろそろ羽田着く頃だよね」・・・・

数日前、息子さんがおばちゃんが鉢植えにしたポインセチアを
ばばに・・・と姉宅に届けてくれてあった。


鉢植えだったがいつの間にか鉢の底から太い根っこがニョッキリと出ていた。
昨日夕方、その鉢植えをいただいてきたのだが、
高さが2メートル位もあり、太い根っこは、はみ出しているし
「ちょっと落ち着いてから、どうにかしょう」と
昨日から庭先に置きっぱなしにしてあった。
 
すると、撮影から戻って来たじじが、その鉢を見て
可哀想に・・・根っこもカラッカラに乾燥しているんじゃ無い?
と言いながら、外の水道から大きな洗い桶に水をたっぷり汲んできて
ポインセチアにかけてくれた。
優しいなぁ・・じじ、ありがとう!!!

男の人は、女の人のように親しい人との別れなども
表面上は、あんまり感傷的にならないように見えるけど
ばばが、おにぎりを作っていた時は「ばば、偉いね」と声をかけてくれ
又、ばばがほったらかしていた鉢植えに水をかけてくれ・・・
じじも、やっぱりおばちゃんとのお別れのことが
心の片隅にはあったんだよね。
ばばが普通に植えてある花や野菜に、じじが水をかけてくれるなんて
滅多に無いんだけど・・・ね。

姉もばばも、しばらくは「Tおばちゃんロス状態」が続くと思うけど
おばちゃんの住所が分かったら、又手紙を書いたりして
おばちゃんとの絆を、ずっと繋いでいこう・・・

おばちゃん、お元気で・・・
今まで本当にありがとうございました!

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ばば
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