おばあちゃん、ナイス!
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7月26日(月)曇
母と同じ階の食堂で食事をしている90代とおぼしきおばあちゃんがいる。
自分で箸を使うことが出来ず、看護師さんや介護士さんの介助を受けている。
固形物を飲み込むのが難しいのか食事は全てミキサーにかけられている。
食事中も「美味しくない」「食べない」「イヤだ」を連発。
口まで食べ物を持って行っても頑固に口を閉じてしまったり
首を振って食べることを拒否することも多い。
介助する人は「今食べておかないと、明日の朝まで何も食べられないよ」と
優しく諭しているが、時には「死にた〜い」を連発することもある。
食後、ベッドに移ってからも
「死にた〜い」「死にたくな〜い」「生かして下さい」「犬になりた〜い」「ご飯食べた〜い」
等と休むことなく言い続けている。
昨夕は、このおばあちゃんのお嫁さんが、ばばに
「一緒におばあちゃんをベッドに移して頂けませんか」と声をかけた。
ばばも一人で母をベッドに移すことは難しいのでお嫁さんの申し出を快諾。
まず、二人でおばあちゃんを移すことに。
車椅子をベッドの横に付けて、お嫁さんがおばあちゃんの上半身を
ばばが下半身を抱えて「1、2,の〜〜」で息を合わせてベッドに移した。
・・・つもりだったが、ベッドに移すや「足が痛〜〜い」と連呼し始めた。
ばばのせい????いや、いや、いや優し〜く、優し〜く抱きかかえて降ろしたよ。
お嫁さんは「痛くないでしょう?何時も彼方此方痛いって言って・・・
みんなが優しく世話してあげているんだから、ありがとうって言わなくっちゃ」と諭している。
それでも色々なことを叫び続けていたが、お嫁さんがばばに
「結婚してすぐから同居して、お母さんには何不自由なくお世話してきたんだけどね。
だから入院してしまって、自由のきかない生活になってそのストレスで
イヤなことばかり言うんでしょうね〜」と言った。
ばばは、黙って頷いていたが、(そう言うこともあり得るかもね・・・・)って思った。
その後、おばあちゃんが「こっち来〜い」「早く!」「Y子、来〜〜い」と叫び始めた。
お嫁さんの名前はY子さんと言うらしい。
お嫁さんが「お母さん、Y子はここにいるよ。
みんなが優しくお母さんの世話してくれているんだから
もっと優しい言葉を使わなくちゃ」と言うと「みんなって誰ね〜」と
おばあちゃんは言っている。
さっきまで「こっち来〜い」と叫んでいたおばあちゃんは、
急に「来て下さ〜い」「来て下さ〜い」と叫び始め
次に「おいで〜」「早くおいで〜」と急に優しい言葉遣いになった。
お嫁さんの話すこともちゃんと理解はしているんだね。
「こっち来〜い」から急に「来て下さ〜い」「おいで〜」になったので
その急変ぶりに何だか可笑しくなったり、おばあちゃんが可愛く思えてしまったり・・・・
目が覚めている間中、良くも口が疲れないものだと思うくらい独り言を叫び続けているおばあちゃん。
若い頃は、家族の中心で、パキパキ取り仕切っていたことだろう、
それが心ならずも不自由な病院暮らしでストレスも溜まり、
性格まで変わってしまったのかも知れない。
毎日病院へ通い、体の不自由な方々を見ていると
誰にも実も花もある若い時代があっただろうにと考えて辛くなる。
ばばだって、もう若くはない。
何時、自分が介護を受ける身になるかも知れない。
その時、素直に「ありがとう」って言えるばばでおれるだろうか?
生涯、周囲への感謝の心は忘れまいと思うけれど・・・・・・・・・、
母が「隣のベッドのばあちゃん、頭良いよ。かけ算九九や、足し算どんどんできるよ」と言う。
今日昼も、病院へ行くとおばあちゃんは、「食べたくな〜い」「イヤだ!」
「美味しくない」を連発しつつ介護士さんを困らせている。
甘い物は好きらしく、「ゼリーだよ」と言うと口を開ける。
食事中もほとんど目は閉じている。
食事がすんで、おばあちゃんが部屋へ帰ってきた。
ベッドに移されてからも、いつもの如く否定的なこと、
悪口的なことをずぅっと言い続けていたが、たまたま看護師さん達が四人入ってきて
他の患者さん達の着替えをさせ始めた。
介護士さんが他の患者さんの着替えをさせながら
「○○さん、3×3は?」と問うと、おばあちゃんすかさず「9!」と元気よく答えた。
次に「50+50は?」と問うと、また「100!」と即答!
また「2×8は?」とか次々問題を出すと、即座に正解を答えた。
おばあちゃん、食事中も、ベッドでも目をつむっていることが多いけれど
目もちゃんと見え、耳もしっかり聞こえているんだ〜。
食事後、部屋へ帰っても会話する人もなく寂しさのあまり
「死にた〜い」「犬になりた〜い」「あっち行け!」とか叫んでいるのかも知れない。
食事の間、又部屋へ帰ってからもおばあちゃんの話し相手になってくれる人がいたら
きっと、おばあちゃんの言葉も柔らかく穏やかなものになるのかも知れない。
それにしても、今90代のおばあちゃんが
足し算やかけ算九九を習ったのは、もう80年以上も前のことだと思うが、
「三つ子の魂百まで・・・」いや、「昔取った杵柄」って
凄いな〜〜と改めて思ったばばだった。
ばばも今度おばあちゃんに話しかけてみようかな?????